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GBJ EYE -vol.6- Retail/ベビー・こども服

レポート

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DATE
2018年11月01日

日本における業界動向

矢野経済研究所の調査によると、2010年以降の国内ベビー・こども服市場は9,000億円前後で推移しており、大きな変動は見られない。とは言え、1世帯がこども用の洋服にかける支出額の低下や、こどもの人口の減少を背景に、長期的な市場縮小が予測されている。

商材は高価格帯と低価格帯の二極化が進んでいるが、百貨店での販売が主となる高価格帯商材の苦戦が続いている。上述の通り、国内ベビー・こども服市場が2010年以降横ばいで推移しているのに対し、百貨店におけるこども服の販売額が2013年比▲7.6%(日本百貨店協会:商品別売上高より抜粋)に縮小しているのを鑑みると、低価格帯商材のほうが支出額を抑えたい消費者により受けられている現状が見て取れる。

 

 

貸し手にとって重要となる留意事項

  • ベビー・こども服は対象年齢や身長によって、大人用のものよりも細かい複数分類にカテゴライズされる。一般的にはベビー、トドラー、キッズ、ジュニア等の分類名称が用いられることが多いものの、これらの名称が示す内容は企業ごとに異なるため、各社分類の表示内容及び分類別の在庫・売上構成を確認し、企業の特色を見極めることが肝要となる。
  • 繊維製品は「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則」(厚生省令第34号)によって試験方法と基準値が定められており、通常は試料1gあたりのホルムアルデヒドの溶出量が75μg以下という基準が満たされていれば良いが、24ヶ月以内の乳幼児製品に限っては吸光度差A-A0の値が0.05以下、または試料1gあたりのホルムアルデヒドの溶出量が16μg以下でなければならない。そのため、該当商材に関しては検査証明書の有無や、保管状態(ホルマリン移染防止用の袋に梱包されているか)を確認することが必要となる。

 

換価時における留意事項

  • ベビー・こども服に限らず、一般的にアパレル商材は換価手段によって回収額に大きな差異が生じる。特にベビー・こども服は消耗品としての要素も強いため、閉店セールであれば通常営業時より一定程度強い割引設定での換価が可能となるものの、卸売となると市場の狭さゆえに業者による値付けは極端に下がる傾向がある。よって如何に多くの商材をエンドユーザーに直接販売できるかが回収額の多寡を決定付けるため、入店するモールのデベロッパーとの閉店セール開催可否の交渉を含め、経験豊富な専門家と協働することを推奨する。
  • 商材によっては、ブランドやキャラクターの使用により、ライセンスフィーの支払いが生じる場合がある。よって、事前に通常営業時の支払条件を確認し、必要に応じてライセンサーに対して条件変更の交渉していくこととなる。例えば、平時の条件が販売した在庫上代の数%を支払うとなっている場合、換価時に同条件を維持すると、特に卸売による換価においてはライセンスフィー差し引き後の金額がマイナスとなる可能性すら生じる。