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新型コロナウイルス(COVID-19)時におけるIT活用

コラム

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DATE
2020年05月11日

ゴードン・ブラザーズ・ジャパン バリュエーション部 マネージングディレクター 帥 暎琦 

 

コロナウイルスのパンデミックがグローバル社会を混乱に陥れ、経済へのダメージが計り知れないものとなってきている。外出自粛、ロックダウン等により、人々の生活がこれまでにないほど制約される中、ITを活用した業務遂行が注目されている。今回は新型コロナの影響で在宅勤務時に役立つ各種ITツール(サービス)を数点紹介していく。

 

①Web会議システム(Skype、Zoom等)

TV会議用アプリは長らく使われていたSkype(Microsoft)が有名であるが、最近はZoomやコラボレーションツールであるTeams(Microsoft)の利用が急激に高まっている。ここでは各ツールの特徴について紹介をする。

 

■ Skype
Microsoft社が提供するSkypeは長らくスマホ用IP電話アプリとして人気を博していた。Skype同士の通話は無料であり、通信ネットワークさえ確保していれば、海外への固定電話・携帯電話も格安で使用できるアプリケーションである。

Skypeには2種類あり、SkypeとSkype for Businessである。前者は一般ユーザー向けの無料コミュニケーションツールであり、音声通話やビデオ通話、インスタントメッセージ、複数人によるグループ通話、デスクトップの共有といった機能が搭載され、古くから多くのユーザーに利用されてきた。しかしながら、Skypeは少人数のメンバー同士でコミュニケーションを行うためのツールであることから、ビジネス向けの利用には向いていなかった。

そこで登場したのがSkype for Businessである。Skype for Businessは最大250名まで同時接続が可能であり、中小企業であれば全社員が一斉に会議へ参加することが可能となる。また、Skype for BusinessはMicrosoft製品であるがゆえに、Office 365(Outlook、OneDrive、Word, Excel、PowerPoint)のアプリとの連携がスムーズであり、ファイルの共有などが非常に簡単に行えるのが特徴となっている。

 

更に、Skypeとは異なり、Skype for Businessはエンタープライズレベルのセキュリティ機能も搭載しており、アクセス制限やなりすまし防止機能もあることから、セキュリティについては万全の体制が整えられている。なお、Microsoftは2020年4月4日、一般利用のデスクトップおよびモバイル版「Skype」でのビデオ通話に同時に参加できる人数を25人から50人に増やしたとアナウンスしており、米AppleのFaceTimeの32人を超えた。

Skype for Business会議への参加はスケジューラーの「Skype会議への参加」をクリックし、「Skype 会議アプリ (Web) をインストールして参加する」か「Skype for Business (デスクトップ) で参加する」を選択する。前者はWebベース(機能的には簡易版)での参加となり、画面共有がスムーズにできないこともあるが、後者はフル機能を使うことができるデスクトップ版であるため、画面の共有やその他の機能も使うことが可能になる。

 

■ Zoom
ZoomはSkypeと同じWeb会議アプリであるが、Skypeと大きく異なるのがSkypeはアカウント同士の繋がりを重視したビデオ通話であるのに対し、ZoomはあくまでWeb会議スタイルを貫いていることである。つまり、Zoomは事前に個人ID情報の交換は不要であり、参加者はホストから送られたURLをクリックするか、11桁の会議室番号を入力することで接続を開始できる。Zoomは相手から直接コールされることはなく、あくまで“会議となる部屋への招待”というスタイルになる。

IT業界調査やコンサルティングを行うガートナー社が2019年9月に発表した「Magic Quadrant for Meeting Solutions」(会議用ソリューションに関する業界構図)によると、Zoomは会議ソリューション大手のCiscoに次ぐ業界第二位の業界リーダーと評価されている。

ZoomがIT業界の大手と肩を並べる要因はいくつかあるが、そのうちの1つがSkypeよりも接続が安定していることが挙げられる。Skypeビデオ通話では36MB/分という結果であることに対し、Zoomウェブ会議は3.3~5MB/分のデータ転送量であり、通信量を抑えながら高品質な通話が可能であることがウリとなっているようだ。これは、参加者が増えることで通信品質の低下を招きやすいSkypeであるのに対して、Zoomであれば会議がよりスムーズに行えることを意味する。

Zoom無料版は3名以上のミーティングの場合は40分という制限が設けられているが、参加者は最大で100名可能となる。40分経過するとアプリケーションが落ちる仕組みとなるが、有料版を使っているホスト側でこの制限を取り除くことも可能である。

 

②チームコラボレーションツール

今、最も勢いのあるチームコラボレーションツールの1つがMicrosoftのTeamsである。下図はTeams及び関連するサービスの概要であるが、ストレージサービスのOneDrive for Businessやチーム共有サイトのSharePoint Online、更にメールクライアントであるOutlook等との親和性が非常に高い。

Teamsはチャット、Web会議、ファイルの共有や共同編集などの機能を搭載しており、チーム作業を実現するハブである。TeamsはMicrosoftのOfficeアプリケーションのサービスの全てに付属しており、Office 365(E1, E3, E5)とMicrosoft 365 Apps for enterprise(旧Office 365 ProPlus)のアカウントを持っていれば利用できる。

https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/business/compare-more-office-365-for-business-plans

 

Teamsはまさにリモートワーク時に威力を発揮し、主な特徴は以下の通りである。

  • チャット、ビデオ会議、音声通話が1つとなったアプリケーション
  • チャット機能
    個人チャット、グループチャットが可能であり、そのまま音声通話やビデオ通話が可能
  • チームの作成及び管理
    プロジェクトごとにチームを作り、内部ユーザーだけでなく、外部ユーザーを招待して共同作業を行うことも可能

Teamsではまずコラボレーションをするために「チーム」の作成が求められるが、以下の手順で簡単に行うことができる。

  1. (左の「チーム」タブより)チームに参加、またはチームを作成
  2. チームを作成
  3. 初めからチームを作成
  4. 「プライベート」or「パブリック」の選択
  5. チーム名を決める

  6. 作成したTeamsにメンバーを追加 (部署別・プロジェクト別、等)
  7. チームメンバーのメールアドレスを複数入力

    これでチームが無事作成されたが、以下の一般」からコメントを入力して送信すると、追加されたメンバー全員がメッセージを受け取ることが可能になる。

    なお、留意点としてこの「一般」は「チャネル」と呼ばれるものであり、チームが新規作成されると必ず作られ、削除することはできない。

 

◆チャネルの概念
チャネルは掲示板(スレッド)と似た概念で、プロジェクトや興味ある分野(例:ITスキルなど)別に使い分ける。上図は「一般」というチャネルだけであるが、以下のように新しいチャネルを追加することも可能である。

チャネルは招待したチームメンバー、あるいは、一部のメンバーでコミュニケーションを取るためにテーマ別に作られるものであり、主にプロジェクトや部署別に運用することを目的としている。上例でいえば、チーム「人事」に以下のようなチャネルを作成することが可能となる。

‐ 人事(チーム)

‐ 一般 (削除できないチャネル)
‐ 人材育成 (削除可能なチャネル)
‐ 勤怠関連 (削除可能なチャネル)
‐ オフィス全般 (削除可能なチャネル)

この場合、各チャネルに招待された人だけが会話のやり取りや情報の共有が可能となる。
なお、チャネルで会話を開始するとき、入力ボックスの左下のAをクリックすると、件名を入れることができる。これにより、そのチャネル内でテーマ別のスレッドが出来上がり、会話の内容を特定しやすくなる。

 

◆チャット
チャネルで発言する場合は多くの場合がグループでの発言になるが、チャットタブ(下図)からは個人間のチャットが可能になる。チャネルと同じように、複数メンバーを招待してグループチャットを行うことが可能であるが、テーマ別にチャットが可能な「件名を追加」(上図参照)での会話ができず、あくまで通常のチャットスタイルとなる。

 

  • 他のアプリケーションとのコラボ
    TeamsはOfficeアプリケーション(Word、Excel、PowerPoint、OneNote Online)だけでなく、BIツールを埋め込んでチーム内で共有したり、Zoomといったサードパーティーのアプリケーションを使って、ミーティングの設定を行ったりすることも可能である。

    Teamsは今後、アプリケーションの埋め込み機能がより強化され、Microsoft製のあらゆるサービスと繋がることが期待されている。なお、Teamsはビジネス上のコラボレーションを可能にすることは当然ながら、地震等の災害時のコミュニケーションツールの1つとなることも期待されている。

 

新型コロナウイルス(COVID-19)は人間の生活を一変させてしまったが、この変わった環境で人間は自分たちにできることを模索しながらその変化に適応していくことが求められる。その意味でITはビジネスの世界だけでなく、教育、医療、物流、その他全ての業界で必須のものとなっており、最も必要なITツールについて知っておくことは重要である。