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ブランド活用で、コロナ大不況を勝ち抜く

コラム

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DATE
2020年12月03日

ゴードン・ブラザーズ・ジャパン バリュエーション部 ヴァイスプレジデント アリ タマット 

 

無形資産でパンデミックを乗り越える

COVID-19(新型コロナウィルス)のパンデミックに伴い、世界各国は1930 年代の大恐慌以降の最悪の経済的衰退にさらされている。今後2年間で世界のGDPが約9兆ドル減少すると予想され *1。日本経済も例外ではなく、2020年のGDPは▲5.5%縮小すると予測されている*2

この厳しい現実に対して、企業が乗り切るための一つの方法はとして、無形資産(Intangible Assets・IA)の戦略的な活用が注目されている。IAは一般に、のれん、ブランド、データなどの非物理的資産および、特許、商標、著作権など法的形態をもった知的財産(Intellectual Property・IP)を指す。こうした無形資産をきちんと評価し、その活用を考えることが今後の企業経営において、非常に重要なファクターになっているといえる。最近では、ブランド等の商標や特許、ソフトなどの無形資産を上手く活用し、企業価値を高める企業が出てきている。

 

ブランドの価値ついて

デジタル化が進むにつれて、ブランドは不動産等の物理的資産よりも、企業価値への貢献度がますます高くなっている。米国のMarketing Accountability Standards Board(MASB)の分析によると、ブランド価値は企業価値の平均19.5%を占めており、企業によってはそれをはるかに超える*3。例えば、消費財や高級商品の場合ではブランド価値は企業価値の50%以上を占める場合もある。

また、ブランドが顧客によって認識されると、購買行動が形成され、製品やサービスの代替性が低下する。また強いブランドは、将来に亘って需要の継続性も生み出し、期待収益が高くなり、リスクも軽減される。ブランドは、現在と将来にわたり経済的価値を生み出すのである。

さらに強いブランドがあれば、その潜在的な可能性として、新しい市場に参入しやすく、商品やサービスの類似カテゴリーへの事業拡大をするができるので、ブランドはM&Aにおける買収プレミアムの主要な推進力となる。

 

ブランドの活用事例

ブランド・商標等の評価、ブランド担保の融資、ブランドの買収、ブランドの新しい営業戦略を実行することで企業価値を高めるケースが増えている。ゴードン・ブラザーズは、企業が持つブランド、商標、顧客ネットワーク等を活用し更なる収益化にむけた支援をしており、自らブランドの評価、取得、再構築、投資もおこなっている。

【ゴードン・ブラザーズによる主なブランド活用事例】

  • 2017年:ファッションのウェット・シール(Wet Seal)のブランドを取得し、完全オンライン小売業態へと変革。
  • 2018年:ベンチ(Bench)ブランドを買収し、強力な国際ブランドとして再活性化。2020年4月に売却。
  • 2020年5月:米国の老舗アパレル小売のBrooks Brothers Group, Inc(米国ニューヨーク)に対し、ブランドを担保とする2,000万ドルのローンを提供。
  • 2020年4月:ローラ・アシュレイ(Laura Ashley)ブランドを買収し、2020年10月に同ブランドのホームグッズ商品を店舗とオンラインショップでの再販売においてNEXTと提携。
  • 2020年12月:世界40ヵ国に展開する英国のベビーグッズ専門店のMothercare Global Brandに対し、マザーケア(Mothercare)ブランドを担保に19.5百万ポンドのローンを提供。

 

*1 BBC https://www.bbc.com/news/business-52273988

*2 Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-10-29/QIUJYJT1UM0W01

*3 Forbes https://blogs.forbes.com/forbesinsights/files/2019/06/Proving-the-Value-of-the-Brand-Report-6.20.19.pdf