DATE
2021年12月30日
Nick Taylor
Gordon Brothers | Senior Managing Director, International Retail
The Circular Retail Revolution: Four Trends That Will Change Retail Forever
(日本語版サマリー)
現在、消費者の価値観は変化しつつある。消費行動に対して、環境問題や社会問題を意識し、行動するようになった。その新しい価値観によって引き起こされた小売業を変える4大トレンドをまとめてみた。
1.新品レンタル業の拡大
- Ownership(所有)からUsership(利用)へのシフト。
- セレブも洋服をリサイクルするようになった。
- 百貨店やメーカーがオンラインのレンタル業者と提携し、高級ドレス、家具等がレンタルできるようになった。
2.リサイクル業の拡大
- 古い家電の回収と再販:
携帯電話メーカーは、古いモデルの端末を下取り途上国へ再販している。これにより、1回製造したものを2回販売することができるとともに、新しい市場への拡大も実現している。 - 2021年7月に公表された数字で、イギリスの消費者はアパレルへの消費額が前年比37%も少なくなっており、持っている服の再活用やリフォーム、またはレンタルを利用している。
- イギリスの携帯電話・メディアのリサイクル大手は2020年に年率50%近い成長率を遂げた
- アパレルブランドも最近下取り・再販のプログラムを始めている
- DepopやVintedというPeer to Peer(消費者同士)の中古品ネット市場が急成長している
- 今後は中古品の方が好まれる世界になる
3.クリーンリテール(環境に配慮した小売業)の拡大
- 循環型小売業は通常の小売業よりも成長率が25%も高く、今後も加速するとみられ、このテーマの新業態と新商品も登場している。
- アパレルブランドAllbirds社は、炭素使用料スコアを表示、エコ素材からの商品も販売しており、急成長している。
- デニムメーカーのMUDは、水のリサイクルと生産プロセスの見直しにより、通常の生産に使われる水量を90%以上カットすることに成功している。
4.ダーティーリテール(環境に配慮しない小売業)に対する制裁
- アパレル業界は、世界の二酸化炭素量の内4%を排出していると言われており、消費者は環境に優しくない「ファストファッション」から「スローファッション」へとシフトしている。
- 環境活動家等は、小売業界へも益々焦点を当てている。今後環境に配慮しないブランドは、不買運動により、消費者の支持を失いシェアが縮小する可能性がある。
- ブランドは、明快な価値・倫理のコミュニケーションをすることにより、消費者をリードすることが可能である。
賢い小売業者は、これらのトレンドを理解し、それに沿ったサービスを提供することができれば、新しい市場への拡大、既存顧客の流出防止、また競合からの新顧客を誘致といったメリットが味わえることができるだろう。