DATE
2018年08月20日
日本における業界動向
リサイクル通信の調査によると2016年のリユース品の国内個人市場(自動車や住宅を除く)は前年比7.4%増の1兆7,743億円となり、7年連続での拡大となった。そのうちブランド品の占める割合は約13%の2,401億円で、前年比+0.2%と概ね横ばいとなっている。
リユース市場を牽引したのは右肩上がりの急激な成長を見せるCtoC市場で、これはメルカリを筆頭とするフリマアプリ普及の影響が強い。ブランド品が横ばいとなった要因としては、CtoC市場において真贋の問題等がありブランド品の取引がまだ少ないためと思料される。
今後、鑑定付フリマアプリの成長によってCtoC取引が急拡大する可能性も予測される。
BtoCセグメントに関しては過去3年間で大きな市場変動はなく、店頭販売に限れば減少基調にある。店頭販売は商品をその場で確認できることや、販売員による詳細な説明が得られるなど、消費者にとってメリットもある反面、店舗の維持費を価格に反映させざるを得ず、EC業態より不利な側面も強い。
特に中古ブランド品は流動性が非常に高く、スマートフォンで容易に価格が調べられることから、消費者からの価格交渉が厳しくなっており、事業者の利益を圧迫する要因の一つとなっている。ただし、実店舗を持つからこそ、 EC業態に比べ個人からの買取を低い敷居で行えるということも見逃すことはできない。
かかる環境下、中古ブランドの大手企業は海外展開を加速させている。国内でのインバウンド需要は一時の勢いからは落ち着いたものの、その中心となった韓国、中国、台湾のみならず、近年ヴィンテージ品としての需要を伸ばすアメリカ、ヨーロッパ等での店舗展開やEコマース事業を拡大することで、グローバルでの市場育成・獲得を企図している。一方で、海外企業が商材仕入れのために日本の市場(オークション)に参加するケースも急増しており、競争は激化している。
貸し手にとって重要となる留意事項
- 商品在庫の経年情報(仕入れからの経過期間情報)は、評価上重要な指標である。多くの中古ブランド品はトレンド等により相場が日々変動するため、事業者は長い期間在庫を保持することを避ける傾向にある。販売に関しても、毎月各地で市場が開催されていることから、店頭で売れ難い商材であっても換価は比較的容易であるといえる。つまり、長期間保有しているものは、商機を伺うためのプレミアム商品か又は市場での販売が困難なものである可能性が高く、商品ごとの特性を見極める必要がある。
- 一方で、トレンドに左右されないハイブランド商材の在庫構成も確認すべき項目として挙げられる。例えばROLEX(時計)やHERMES(バッグ)等に関しては、状態が正常であれば、価格が大きく下がらない特性があるため、担保適正の高い商材といえる。また、これらのブランドは定番アイテムとして事業者にとっても重要な商材となっていることが多く、当該ブランドの枯渇は大きな販売ロスをもたらす可能性がある。
- 万が一、対象企業の在庫を換価する事態となった場合、在庫の規模によっては市場の価格を大きく下落させてしまうことも起こりうる。よって、必ずしも現時点の市場価格が保全額の最低ラインとはならないことに留意すべきである。
- 事業者の所有する在庫の中には一定量の修理品が含まれ、かつ外部業者等へ委託されていることが常である。よって、拠点別の在庫金額について把握しておくことも重要である。
換価時における留意事項
- 店頭での換価を想定する場合、ブランドやアイテムの適正を見極め、価格設定する必要がある。例えば、先に記載したROLEXやHERMESは通常大きな値引をされることは少ないため、換価時であっても少ない値引での換価が可能なものと思料される。
- 市場での換価を想定する場合、同業者から見て不自然な量の出品は価格の下落をもたらす要因となり得る。よって、一箇所のオークションに全商材を投入するのではなく、敢えて複数回に分けて出品することにより、不自然さを軽減する等の施策を講じる必要がある。
- ブランド品の中には小型にも関わらず高額のものも多く含まれ、また個人での現金化も容易なため、在庫管理を徹底し、運び出し等のリスクを抑えることが肝要である。